本のかんたんな紹介
『あれこれ考えて動けない」をやめる9つの習慣』
著者:和田 秀樹
発行所:大和書房
著者の和田秀樹氏は高齢者専門の精神科医であり、その専門的知識・経験を土台にした著作も多い。
本書は、行動したいけど「できない」、そんな人へ向けて、新たな考え方や視点を与えることによって、より行動しやすくするためのきっかけを与えてくれる本。
著者がこころの専門家なだけあって、「内面からくるブレーキをいかに外すか」に注力し、図説と具体的エピソードを交えて「行動できない」人の背中をそっと押してくれる優しさと説得力を感じる。
行動したくてもできないジレンマを感じる人へ
私はとかく行動できない。
行動しないと結果もでないのに、心理ブロックがありどうしても行動するエネルギーがわかない。
行動する前から「今からやること」ことの大変さを思い描き、腰を重くしている。
「理由の一旦は自身の完璧主義にある」、と本書を手に取る前からなんとなく分かっていたのだが、だからといってすぐに自分のありかたを変えられず、モンモンとしていた。
行動できない理由の大半は、私の場合こころの問題が大半であった。
「失敗が怖い」「やるからには高い結果を残したい」「そのためにはクオリティを上げなくては」てな具合に、自分でハードルを上げに上げて、行動できなくなっていた(まあ現在も)。
だから、私にとってはこの本がジャストフィットだった。
具体的な9つの習慣から、実行できそうな行動を1つでもやってみる。
この本でたびたび例としてでてくる「行動できない人」ー「まじめで慎重で、完璧主義、人に頼れない」ーがまさに自分で、そういう人は具体的に「どう考えたら」「どのように行動したら」前へ進んでいけるのか、心理面と行動的テクニック、どちらのアプローチも筆者のエピソードも交えて網羅していて、親近感がわくし、非常に参考になった。
こういう本、読んだ当初は「よし、やろう!あれもこれも、実行できることはなんでもやってくぞー!」からの「できません(やれません)」で「行動終了」、結果なんも変わりません。で終わりがちだが、著者はそういう心理も織り込み済みで、実際この本が提唱する「9つの習慣」から「1つでも2つでも、何か試せることがあれば、それで上出来だ」と書いてくれている。そういう優しさが本書にはある。
以下に行動面と、心理面のアプローチから、特に印象に残っている部分を1つずつ引用したい。
行動面
「読もうと思っている資料はつねに持ち歩き、1、2分間の時間を見つけては1〜3ページ読む。
(中略)
資格取得などを目指す人にはおすすめだ。過去の問題集などは、短いものなら1問、1分間あればできるだろう。何もしないでいれば消えてしまう1分間も、こうやって活用していけば、どんどん動きだしていくのだ」
(P117, 118 から一部抜粋)
心理面
『甘えられる人は心理学的に「大人」である。ひとりで完璧を目指さず、人に頼っていいのである。自分の能力の限界を知り、その際に人に頼ることも含めて、どうすれば結果がいいかを考えるのは、立派な「メタ認知」である。つまり、それができるほうが心理学的に大人であるし、能力も高いのである。』
(P96~99 から一部抜粋)
「行動」も「心理」も密接に絡み合っているものだが、個人的にあえてすぐ「行動」として実行できるものと、「心理」面で気づきがあったものと、分けて引用した。
私なぞは、常に頭のなかに「あれやらなきゃこれやならきゃ」がある。自分では「やったほうがいい」と分かっているのに、思っているだけで結局やれない日が大半だったりする。「やらない」ことにより、降り積もる罪悪感…
著者も言っているが、「自分が今できることに対して(自分の実力に対して)理想・目標を高く設定し過ぎている」んだと思う。やるからには「まとまった時間/集中して」やるべきだという思い込みが、自分にはある。それだと余計心理的負担が大きくなって、行動できない一方だ。だから、著者の「1,2分間の時間を見つけて」ちょくちょくやる、という考え方、行動の仕方は参考になった。実際、0より少なくても1,2を積み重ねる方がいいに決まっているのだ。
そして、心理面で自分の状態に気づくきっかけにもなった。私は「自分の能力の限界」を知るのが怖いんだな、自分が思ったほどできないのを認めたくないんだな、そういった面で私は心理的に大人になりきれていない。「結果」ではなく「自分」にフォーカスがいっている。そう気付けただけでも、本書を読んだかいがあった。
この本をお勧めする人は、こんな人
このように、本書は「真面目で考えすぎるあまり動けない」人向けにこころの専門家の著者が「なぜあなたが動けないのか」「動かないとはどういうことなのか」「行動できるようになるには」といった方法を具体的なエピソードや図説を交えて示してくれてる。特に、私のように心理的ブロックが強い人におすすめだ。
得に私は、自分の現状を知り、結果を残すにはどうすればいいか気づくきっかけになった。
ガチガチに物事を捉え過ぎず、肩の力を抜いて今自分にできることを、小さくでもいいので気楽に、やっていこうと思う。